【第2回】10年経っても色褪せない、セイコーの傑作「SARB033」へのステップアップ

セイコーのロゴの横に置かれた、黒文字盤とステンレス無垢ブレスが美しい腕時計「SARB033」の全体像 時計

SEIKO 5を手にしてからしばらく経った頃。私の心の中には、ある一つの欲求が芽生え始めていました。「機械式時計の仕組みは十分に楽しめた。次は、道具としてのさらなるクオリティを体験してみたい」

そんな中で出会ったのが、当時「プアマンズ・グランドセイコー」という異名でも親しまれていた、セイコーの「SARB033」でした。価格はSEIKO 5の数倍でしたが、手にした瞬間に感じたのは、それ以上の圧倒的な質感でした。

[関連記事:【第1回】13年前の原点。SEIKO5レビューはこちら]

SEIKO 5の次に求めた「クオリティ」

左:SARB033、右:SEIKO 5。並べてみると、ケースの仕上げや佇まいの違いは一目瞭然だった。

左:SARB033、右:SEIKO 5。
並べてみると、ケースの仕上げや佇まいの違いは一目瞭然だった。

実用面:手巻き機能の恩恵

写真だけでは伝えきれない『塊感』や針の動きを共有したく、
自ら撮影した動画です。質感の参考にしてください。

実用面で最も大きな変化を感じたのは、「手巻き機能」の有無です。

SEIKO 5(7S系ムーブメント)は腕に付けて振らなければ動き出しませんが、SARB033(6R15ムーブメント)はリューズを回してゼンマイを直接巻くことができます。朝、時計が止まっていても、数回リューズを回せば確実に、そして効率的に時を刻み始める。この「手間を最小限に抑える機能」は、忙しい朝のストレスを劇的に減らしてくれました。

また、シースルーバックから覗くムーブメントも、より精密な造形へと進化していました。

6R15ムーブメント。SEIKO 5よりも一段上の仕上げが施されている。

6R15ムーブメント。SEIKO 5よりも一段上の仕上げが施されている。

「塊感」のあるステンレス無垢ブレス

機能面以上に、五感に訴えかけてきたのが「ブレスレットの質感」です。

SEIKO 5のブレスは金属板を曲げて作った中空のものが多く、振るとシャカシャカとした軽い音がしました。対してSARB033のブレスは、金属を削り出した「ステンレス無垢(むく)」。

手に持った時にずっしりとくる重み、そして「塊」としての存在感。腕に乗せた時の安定感は、まさに一段上のステージへ進んだことを実感させてくれるものでした。

無垢ブレスならではの重量感。この「塊感」こそが、高級感の正体だった。

無垢ブレスならではの重量感。この「塊感」こそが、高級感の正体だった。

10年経っても色褪せない完成度

さらに細部を観察すると、針の仕上げやインデックスの輝きなど、あらゆる箇所に「妥協のなさ」が感じられます。

マクロで見ても隙のない針の仕上げ。これこそが傑作と呼ばれる所以。

マクロで見ても隙のない針の仕上げ。これこそが傑作と呼ばれる所以。

無駄のないデザインの中に、時計としての基本性能と高い質感が凝縮されている。13年前にこの時計を選んだことは、私の「道具選びの基準」を一段階引き上げる重要な経験となりました。

結び:さらなる高みへ

このSARB033は、後に生産終了となりましたが、今なお世界中のファンから「傑作」と称えられています。道具としての「効率」と「質感」を両立させたこの1本は、私にとって非常に満足度の高い選択でした。

しかし、このSARB033との出会いは、まだ旅の中盤に過ぎませんでした。
次回、【メカニカル自動巻:SARB021】へ続きます。

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