オーディオ界隈では切っても切れない永遠のテーマであるエージングについて今回は語りたいと思います。昔から根強く語られるエージングですが、私はこれについて明確な違和感を持っています。
今回は少し趣向を変えて、エンジニアとしての視点、そして一人の音楽ファンとしての視点から、エージングの本質について整理してみたいと思います。
私がエージングをやめた理由と気づき

※かつて10数年前に 私がカメラの防湿庫の中で、エージングをやっていたイメージです。
実は、私も過去には熱心にエージングを行っていた時期がありました。何十時間もノイズや音楽を流し続け、音の変化を待つという作業です。
しかし、ある時ふと疑問が湧きました。 「この儀式をやらないとまともな音が出ない製品は、果たして本当に『良いイヤホン』と言えるのだろうか」と。
工業製品として新品で店頭に、あるいは手元に届く。そのスタートラインの地点で100%完成されたパフォーマンスを発揮できるものこそが、本当に優れたイヤホンであるべきです。
もし家電量販店で試聴して、悪い音なら買わないですよね?その時にメーカーは「エージングされてないから」なんて言い訳はできません。

本来のエージングとは、日々の生活の中で普通に音楽を聴いていくうちに、道具として自然と馴染んでいくプロセスのことを指すはずです。
決して、購入直後にわざわざ負荷をかけて無理に鳴らし込むべきものではありません。

※私が毎日イヤホンを3時間以上、純粋に音楽を聴き続けた結果
大切な相棒であるはずのイヤホンを、最初から老いるような事をしたいと思うでしょうか。 私なら一緒にこれから歩むであろう相棒と共に時間を重ねながら、老いていきたいと考えます。
好きな音楽を好きなイヤホンで自然に楽しむ中で、少しずつ馴染んでいく方が道具として健全であるのではないでしょうか。

購入した直後から「まずは何十時間エージングをしなければ」と義務感に追われている方は、目の前の音楽そのものを楽しめていないのではないでしょうか。
せっかく手に入れたイヤホン(相棒)です。もっと純粋に、音楽を楽しみませんか。
トップエンジニアたちが「エージング」を語らない理由
「エージング(Aging)」という言葉の本来の意味は「老化」や「経時変化」です。

世界最高峰の音楽を手がけ、グラミー賞を何度も受賞しているランディ・メリルやクリス・ゲリンジャー、マイケル・ロマノフスキーといったトップマスタリング・エンジニアたちは、公式な場でエージングの必要性を熱弁したりはしません。
なぜなら、プロが使う数千万円クラスのスタジオ機材やモニタースピーカーは、製造段階で厳格なテストと初期慣らしが完了した状態で出荷されるのが当たり前だからです。「100時間鳴らさないとフラットな音が出ない」ような不安定な製品は、一分一秒がビジネスになるプロの現場ではそもそも道具として信頼されません。
彼らは「エージングで音が変わるのを待つ」という不確定要素に頼るのではなく、測定器による客観的なデータを用いて、その場で正しい音が出ているかを冷徹に管理しています。
最後に|相棒としてふさわしい5機種を紹介
エージングをやらず、ただ音楽を流しただけの本来の音。5機種のフラッグシップイヤホンが、私の耳に対して一体どのような音を響かせてくれたのか。
それぞれが奏でてくれたリアルな音のスコアを知りたくありませんか?




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