S660(JW5)の走りを根本から変える定番チューニングとして知られるのが、ECUの書き換えです。
今回は、OBD IIコネクタから手軽にECUデータを書き換えられるツール「HKS フラッシュエディター(42015-AH104)」に、S660専門店として知られる44Gのカスタムデータを組み合わせてインストールしました。
S660向けのフラッシュエディター用カスタムデータとしては、FLATWELL、オートバックス浜松、44G、J’S RACING、SEEKERなど各社からリリースされており、どれを選ぶか迷うところです。
本記事では、数あるショップの中からなぜ44Gを選んだのか、ハイオク仕様へ切り替えるための事前準備、実際のインストール手順、そして装着後のブースト圧や走行フィーリングの変化までを詳しくレビューします。
S660用ECUデータ比較|数あるショップから44Gを選んだ理由
S660向けのECUカスタムデータは、FLATWELL、オートバックス浜松、J’S RACING、SEEKERなど、名門ショップ各社からリリースされています。それぞれ高回転の伸びを重視したものや、吸排気の変更を前提としたハードな仕様など、特徴や味付けは様々です。

その中で44Gのデータを選んだ最大の理由は、S660という車種に特化して膨大な実走テストを重ねている専門店ならではのノウハウにあります。ピークパワーの数値を単に引き上げるだけでなく、街乗りで多用する低中速域のアクセルレスポンスやトルクの立ち上がりが非常に丁寧に作り込まれています。
特にCVT車の場合、低速からのもたつきをいかに解消し、日常のワインディングから気持ちよく走れるかが重要になります。純正の安全マージンをしっかり残しつつ、下からの扱いやすさと確実なパワーアップを両立している点が、自分の用途に最も合致していると判断しました。
なお、今回導入した44Gのカスタムデータは以下の公式ショップから依頼・購入が可能です。
44G Webショップ(フラッシュエディター カスタムデータ)

ECU導入前の準備|ハイオク完全置換とエンジン内部洗浄
44Gのカスタムデータはハイオクガソリン専用セッティングとなっているため、導入前にタンク内の燃料を確実にハイオクへ切り替えておく必要があります。
レギュラーガソリンが残った状態でブーストアップデータを書き込むと、ノッキングが発生して本来の性能が出ないだけでなく、最悪の場合はエンジンブローのリスクを伴います。
そのため、今回は以下の手順で燃料ラインの完全な入れ替えと事前メンテナンスを行いました。
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レギュラーガソリンの消費
納車時に入っていたレギュラーガソリンとAZ(エーゼット) 燃料添加剤 FCR-062を使い切るため、給油警告灯が点灯するまで走行 -
吸気系洗浄システム「RECS」の施工
インテーク・燃焼室のカーボンを洗浄(白煙の発生は意外と少なく穏やかな状態でした) -
1回目のハイオク満タン給油
タンク内の希釈を開始 -
再度の走り切り
再び給油警告灯が点灯するまで走行し、残存レギュラー成分を最小限まで減らす -
2回目のハイオク満タン給油
ハイオク純度をほぼ100%に近い状態へ引き上げる -
最終ライン洗浄(約30km走行)
燃料ライン内に残ったわずかなガソリンまで使い切り、ECU書き換えの準備が完了
ここまで徹底して2回の満タン給油とライン洗浄を行うことで、燃料タンクからインジェクターまでのガソリンを純度100%のハイオク状態へ仕上げました。
S660は純正ではレギュラー指定のため、セルフスタンドでのうっかり給油ミスを防ぐ対策も不可欠です。そこで、給油口のキャップに貼る立体タイプのハイオク表示ステッカーを導入しました。

給油リッドを開けた瞬間に鮮やかなイエローと「ハイオク PREMIUM」の文字が目に入るため、無意識にレギュラーノズルを取ってしまうトラブルを未然に防いでくれます。立体的なポッティング加工で質感も高く、ハイオク専用ECUを導入した際には必須と言えるアイテムです。
HKSフラッシュエディター導入手順|初期化からECU書き換えまでの全工程




※リフラッシュ中はメーターが全点灯します
・1. 表示画面|リフラッシュ作業の状況などを表示
・2. 操作ボタン(4つ)|上から順に「▲:上」「●:選択」「▼:下」「◀:戻る」
・3. USBコネクタ|PC接続用(初期化ツール・データ通信時)
・4. 本体接続コネクタ|OBDⅡハーネスと本体を接続
・5. OBDⅡコネクタ|車両側のOBDⅡポートへ接続
- 車両のOBDⅡコネクタにFlash Editorを接続する
- IG(イグニッション)をONにし、10秒以上待つ(※エンジンは掛けない)
- メニューから【 ECU READ 】を選択し、ECUステータスを読み込む
- 読み込み完了後、IGをOFFにして車両からFlash Editorを取り外す
- USBケーブルを使い、Flash Editorをパソコンに接続する(※端子の向きに注意)
- パソコンにFlash Editor専用ドライバをインストールする
- 専用ソフトでFlash Editorを初期化し、完了後にPCから取り外す
- 再び車両のOBDⅡコネクタにFlash Editorを接続する
- IGをONにし、10秒以上待つ(※エンジンは掛けない)
- メニューから【 ECU ReFLASH 】を選択し、カスタムデータを書き込む
- 書き込み完了後、IGをOFFにしてFlash Editorを取り外す
- エンジンを始動し、正常にアイドリングすることを確認して完了
- 車両のOBDⅡコネクタにFlash Editorを接続する
- IGをONにし、10秒以上待つ(※エンジンは掛けない)
- 【 ECU ReFLASH 】を選択し、「カスタムデータ」または「NORMALデータ」を選択して書き込む
- 書き込み完了後、IGをOFFにしてFlash Editorを取り外す
- エンジンを始動し、アイドリング状態に問題がないことを確認する
実走レビュー|ブースト1.1kg化と出足のレスポンス変化
ECU書き換えを完了し、実際に走らせてまず驚いたのが発進直後の出足の軽さです。

ノーマルブースト圧:約0.9kg/cm²

44Gカスタムデータ:約1.1kg/cm²
ピークブースト圧はノーマルの約0.9kgから1.1kgへとしっかり引き上げられていますが、このデータの真価は単に過給圧が上がったことだけにとどまりません。
過給が本格的に立ち上がる前の極低回転域から、スロットル開度の制御が緻密に最適化されていることがペダルを踏んだ瞬間に伝わってきます。CVT特有の「踏み込んでから一呼吸置いて車速が追いついてくる」ようなもたつきが大幅に軽減され、ゼロ発進からスーッと車体が前に押し出されます。
感覚としては、バイクのライディングモードで例えるなら「ノーマルがRAINモード、44GカスタムデータがSPORTモード」と言えるほどの明確なレスポンスの差があります。
日常のストリートやワインディングを流すだけでも、アクセル操作に対するリニアな加速フィールが味わえ、車の軽快感が一段階引き上げられた印象です。
この仕様でどれほどのパフォーマンスを発揮できるのか、後日サーキットに持ち込んで全開走行での挙動やラップタイムの変化を検証してみます。
▼ S660×44Gカスタムデータでの幸田サーキット実走レビューはこちら|ノーマル足回りとルマンタイヤで挑んだ初の4輪サーキット走行。1分01秒91を記録したラップタイムやタイヤの摩耗状態、完走後に装着したHKSステッカーの仕上がりを詳しく紹介しています。

▼ S660後期型αの納車レビューはこちら|低重心な外観チェックやGR86・NSXとの車高比較、納車直後のリアルな所感を詳しく紹介しています。




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