愛車を運転する際、常に手が触れ、視界に入り続けるステアリングホイール。内装の満足度やドライブの握り心地を大きく左右する重要なパーツです。
私のS660は、前オーナーからの使用期間を含めて「走行距離6.1万キロ・経過年数6年」を迎えています。走行性能自体は快調そのものですが、長年の使用によって純正ステアリングの劣化が目立ちます。

特にグリップ部に採用されているアルカンターラ(スエード調表皮)は、手の油分や摩擦によって毛羽立ちが寝てしまい、表面がテカテカと黒ずんでツルツルに固まってしまっています。本来のしっとりとした手触りや高いグリップ感が損なわれ、経年劣化を一番感じてしまうポイントでした。
そこで今回、フリマアプリで「Modulo X純正ステアリング(新品)」を入手できたため、DIYで丸ごとリフレッシュ交換することにしました。
本記事では、6.1万キロ使い込まれたアルカンターラハンドルのリアルな劣化状態をはじめ、バッテリー端子外しから始まる安全な取り外し手順、ステアリングスイッチ類の移植、内部パーツの蓄積汚れ清掃、そして新品装着後のビフォーアフターまで詳しくレポートします。
取り外し前の状態確認|6年・6.1万キロ使用したハンドルの劣化具合
作業に入る前に、これまで使用されてきた純正ステアリングの劣化状態を細かくチェックしていきます。走行距離6.1万キロ、年数にして約6年が経過した状態です。

ステアリング左側・グリップ部アップ
まず目に付くのが、サイドグリップに採用されているアルカンターラ(スエード調表皮)のヘタリです。長年の手のひらの摩擦や皮脂の付着によって起毛が完全に寝てしまい、表面がツルツルに潰れてテカリが出ています。起毛素材特有のしっとりとした手触りは失われ、硬化が進んでいる状態です。


アンダー部・レザー表皮の剥がれ
さらに顕著なダメージが見られるのが、ボトム側のレザー(本革)部分です。
乗り降りの際やステアリング操作で頻繁に擦れる下部の表皮は、経年劣化によってコーティングが剥がれ、白っぽく擦り切れてしまっています。アルカンターラと本革の切り替えステッチ付近も擦れが目立ち、全体的に年式相応の使い込み感が出ていることが分かります。
常に視界に入り、直接手で触れるパーツだけに、この状態から新品のModulo Xハンドルへ交換することで車内の印象がどれほど若返るのか非常に楽しみなところです。
車体からのステアリング取り外し手順|安全対策とボルトの緩め方
車体からステアリング本体を取り外す工程です。エアバッグを扱うため、手順と安全対策をしっかり確認しながら進めていきます。
作業前の最重要準備|バッテリーのマイナス端子を外して5分待機
作業を始める前に、必ずボンネット内のバッテリーのマイナス端子を外します。
端子を外した直後は車両内のコンデンサーに電気が残っているため、最低でも5分間は放置して完全に放電させます。これはエアバッグユニット取り外し時の予期せぬ誤作動や暴発事故、メーター内の警告灯点灯エラーを防ぐための必須手順です。
ステップ1|左右のトルクスボルトを緩めてエアバッグユニットを浮かす

ステアリング側面のトルクスボルト穴
ステアリングコラムの左右側面にあるサービスホールから、T30サイズのトルクスレンチを差し込み、エアバッグユニットを固定している左右2本のボルトを緩めます。ボルトが緩むと中央のホーンパッド(エアバッグ部)が手前に浮いてきます。
ステップ2|エアバッグとホーンのコネクターを慎重に取り外す

エアバッグ裏側の黄色/グレーのコネクター

取り外したホーン/スイッチ GNDの配線コネクター これがなかなか硬い
エアバッグユニットを手前にゆっくり引き出し、裏側に接続されている配線コネクターを取り外します。
- エアバッグ用コネクター:左右ロック機構(白い爪)をスライドさせて解除し、真っ直ぐ引き抜きます。
- ホーン配線:平型端子やコネクターを爪を押しながら引き抜きます。
コネクターが外れたら、エアバッグモジュールを衝撃の加わらない平らで安全な場所に保管します。
ステップ3|ステアリング内部のコネクター類を切り離す

エアバッグ取り外し後のステアリング内部と各種カプラー
ステアリングスイッチやパドルシフトなどの配線が、ステアリング上部やスパイラルケーブル側に繋がっています。これら各コネクターのツメを押しながら慎重に引き抜き、ステアリング側と車両側を完全にフリーな状態にします。
ステップ4|センターボルトを緩める(10mmヘキサゴンレンチ+スピンナハンドル)

ロングスピンナハンドルを掛けて緩める様子

取り外した青いネジロック剤付きの10mmセンターボルト
ステアリング中心の固定には、10mmサイズの六角穴付きボルト(ヘキサゴンボルト)が使用されています。
このボルトにはネジロック剤(青色の緩み止め塗料)が塗布されており、非常に強固に締め付けられています。一般的な短いラチェットハンドルでは歯が立たないため、長めのスピンナハンドル(ブレーカーバー)やエクステンションバーを組み合わせてテコの原理で一気にトルクをかけて緩めます。
ワンポイント注意点 センターボルトを完全に外してしまう前に、数山だけネジ山が掛かった状態にしてステアリング本体を両手で前後に揺らしながら手前に引っ張ると、固着が外れた瞬間に顔面へハンドルが直撃する怪我を防げます。
ステップ5|ステアリング本体を取り外す
ボルトを完全に外し、配線コネクターを隙間からゆっくり引き抜きながらステアリング本体を手前に引き抜きます。

ステアリングを取り外した直後のスパイラルケーブル露出状態
ステアリングが外れると奥に黒い「スパイラルケーブル(コンビネーションスイッチ部)」が現れます。このセンターピースがクルクルと回転してしまうと内部のフラットケーブルが断線する原因になるため、作業中はテープ等で固定するか、絶対に手で回転させないよう注意してください。
スイッチ&カバー類の移植と清掃|6年分の蓄積汚れをリフレッシュ
取り外した古いステアリングから、ステアリングスイッチ、パドルシフト、背面のカバー類を分解し、新しいModulo Xステアリングへ移植していきます。

ステアリング内部のツメや配線取り回し
他の方の作業レビューを見ていると「ツメを外すのが硬くて苦労した」という声が多く、確かに最初はツメの噛み合わせを外すのに少しコツが必要でした。プラスチックの内張りはがしを活用し、無理に力をかけず噛み合わせを一つずつ解除していきます。

パドルシフト部の取り外し・コネクター

ステアリング裏面の骨格と配線ルート

取り外したステアリングスイッチ・ベゼル一式

パドルシフトユニット裏側の固定構造
せっかくの機会なので6年分の手垢汚れを徹底清掃

パドルシフトパーツと拭き取りで茶色くなったウエットティッシュ
ここまでバラバラにする機会は滅多にないため、外したスイッチやパドルシフトの隙間、裏側のカバー類をアルコールシートで隅々まで清掃しました。
普段のお手入れでは届かないパーツの境目や裏側を少し拭くだけで、6年・6.1万キロ分の手垢や皮脂汚れが茶色く浮き上がってきます。新品ハンドルを気持ちよく使うためにも、ここは時間をかけてしっかり綺麗に拭き上げました。
パズルのように組み上げて移植完了
清掃が終われば、新しいModulo Xハンドルへ逆の手順で組み付けていきます。

Modulo Xハンドルへスイッチ部を組み付けた状態

Modulo Xハンドル裏面のパドル・配線組み込み状態

すべてのスイッチ・カバー類が移植完了したModulo Xハンドル
分解時は少し手こずったものの、組み立てに入るとパーツ同士が「パチン、パチン」と小気味よくハマっていき、まるでプラモデルを組み立てているような感覚で作業がどんどん進みます。
配線の挟み込みに注意しながらカプラーとネジを戻し、所要時間およそ30分(0.5h)ほどで無事にスイッチ類の移植が完了しました。ボルドーレッドレザーと新品アルカンターラのコントラストが非常に引き締まって見えます。
新旧ステアリングの状態比較|6.1万キロの劣化とModulo X新品の質感差
スイッチ類の移植が完了したところで、取り外した旧ステアリングと新品のModulo Xステアリングを並べて細部の状態を比較してみます。

新旧ステアリング全体の比較
並べてみると、素材の質感や色味の違いが一目瞭然です。
右側の旧ステアリングは、アルカンターラ部分が長年の摩擦と皮脂で黒ずみ、毛足が完全に寝てツルツルと光を反射してしまっています。対して左側の新品Modulo Xステアリングは、深い黒さと細かな起毛によるしっとりとしたマットな質感がしっかり残っています。


アンダー部・ボトムレザーとステッチ付近の比較

トップレザー部のアップ比較
特に差が出ているのがレザー部分のコンディションです。
旧ステアリングのブラックレザーは、乗り降りの擦れや日焼けによって表面のトップコートが剥がれ、白っぽいテカリとザラつきが目立っていました。
一方、新品のModulo Xステアリングは専用カラーのボルドーレッドレザーが採用されており、きめ細かなシボ感(革の凹凸)と適度な弾力が新品そのものです。グレー系のステッチもほつれ一つなく綺麗に縫い込まれており、内装の上質感が大幅に引き上がることが確信できる仕上がりとなっています。
取り付け完了と試運転レビュー|新車時の極上な手触りとModulo Xの特別感
車体への取り付け手順は、先ほど紹介した「取り外し手順」の完全な逆順となるため割愛します。
センターボルトを規定トルクで確実に締め込み、各配線カプラーとエアバッグユニットを戻した後、最後にバッテリーのマイナス端子を接続して作業完了です。

装着完了後の正面アングル

運転席ドア側からのコクピット全体アングル
取り付け後に早速近所を試運転してみましたが、走り出した瞬間に手のひらへ伝わる感触が別物でした。
寝てしまっていたアルカンターラの起毛がしっかりと指先に吸い付くようにグリップし、ボルドーレッドレザーのしっとりとした質感も相まって、まさに「新車そのものの肌触り」が蘇っています。
車内に乗り込むたびに視界へ飛び込んでくる鮮やかなボルドーレッドと深みのあるアルカンターラのツートンカラーは、Modulo X純正ならではの上質さと特別感があり、運転席に座るだけで自然と気分が高まります。
走行距離6.1万キロ・年数6年を重ねた車とは到底思えないほどハンドル周りが若返り、愛車への愛着が一段と深まる満足度の高いリフレッシュDIYとなりました。
▼ S660後期型αの納車レビューはこちら|低重心な外観チェックやGR86・NSXとの車高比較、納車直後のリアルな所感を詳しく紹介しています。



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