S660のタイトなコクピットにおいて、社外メーターやレーダー探知機の取り付け場所には常に頭を悩ませます。視界を遮らず、インテリアの雰囲気を壊さないコンパクトなモデルを探している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回導入したのが、2.4インチの小型モニターを採用したレーザー&レーダー探知機、BLITZの「Touch-LASER TL245R」です。

全国で導入が進む最新の可搬式レーダーオービス(JMA-520やMSSS新周波数など)にしっかり対応しつつ、本体サイズが非常にコンパクトに抑えられているのが特徴です。配線には別売のOBDIIアダプター(OBD2-BR1A)を組み合わせ、電源確保と同時に車両情報の取得も狙います。

本体前面はタッチスイッチ方式となっており、ボタンの出っ張りがないフラットなデザインです。小型液晶ながら視認性が高く、ダッシュボード上に置いても前方の視界をほとんど遮りません。

背面にはレーザー受信部とステー取り付け部、電源スイッチが機能的に配置されています。可動式のステーによって角度調整も自由度が高く、曲面が多いS660のダッシュボードにも柔軟にフィットします。
今回はこのTL245Rの実機外観や、S660への取り付け手順、OBDII接続時の注意点について詳しくレビューしていきます。
S660への取り付け手順|OBDIIアダプター接続
まず最初にお伝えしておきたいのが、今回TL245RをS660に接続するために使用するOBDIIアダプターについてです。

ブリッツのOBDIIアダプターには「OBD2-BR1A」と「OBD2-BR2A」、さらに車種専用の「OBD2-BR1A-86」などが存在します。型番が分かれているため購入時に迷いやすいポイントですが、実はOBD2-BR2AはBR1Aの後継・上位互換モデル(日産e-POWER等の対応車種を追加したもの)となっており、S660においてはOBD2-BR1AでもOBD2-BR2Aでも問題なく適合します。
S660のOBDIIコネクターは、運転席足元の左側(フットレストの斜め上あたり)に下向きで配置されています。

位置さえ把握できれば、カプラーを奥まで差し込むだけで電源と車両信号を同時に確保できる手軽な設計です。

今回は説明書に記載されたディップスイッチ設定表に従い、ホンダ車向けの「パターン11(2番・4番のみON)」にセットして接続しました。

ところが、コネクターをしっかり挿し込んでイグニッションをONにしても、探知機本体のモニターが一切立ち上がらないというトラブルが発生しました。

スイッチのピン位置は間違いなく「2と4がON」になっています。ヒューズ切れや断線を疑うような症状ですが、実はここに、旧コムテック製品の仕様を知っている人ほど引っかかりやすい大きな落とし穴が存在していました。
OBDIIアダプター接続時の落とし穴|電源が入らない原因
コムテック時代のレーダー探知機を扱ったことがある方なら、電源の取り方といえば以下の3パターンが頭に浮かぶと思います。

- シガープラグコードによる接続
- 直接配線コード(ACC電源+ボディアース)による接続
- OBDIIアダプターを車両コネクターに挿すだけの単独接続
従来のOBDII接続であれば、カプラーを車両側にカチッと差し込むだけで常時電源・ACC連動・車両信号のすべてが完結していました。
しかし、今回のOBDIIアダプターのパッケージを開けると、見慣れない細い配線コードが同梱されています。

当初は「OBDIIを使わず、単体で電源を取る人向けの親切なオマケ配線だろう」と思い込んで完全にスルーしていました。ところが、これこそが電源が入らなかった最大の原因です。
OBDIIカプラー本体を裏返してよく観察してみると、ディップスイッチのすぐ横に小さな白いコネクター受けが設けられています。


この小さな端子は、メーカーの点検・メンテナンス用ポートなどではなく、同梱されていた補助電源ケーブルを差し込むための専用ポートでした。
つまり、OBDIIコネクターを車両側に接続するだけでなく、このカプラー背面のコネクターにも配線を挿し、ACC電源とボディアースを個別に接続しなければ本体に電源が供給されない仕様になっています。
「カプラーの裏側にさらに別のコネクターを挿す」という構造は、従来のコムテック製OBDIIアダプターを知っている人ほど思い込みで素通りしてしまいやすいポイントです。ディップスイッチの設定が合っているにもかかわらず画面が一切点かない場合は、このカプラー裏の電源配線が接続されているかを必ず確認してください。
電源取り出しとアース接続|S660での配線作業
補助電源の仕様が把握できたところで、実際の配線作業を進めていきます。
電源取り出しには「エーモン 低背ヒューズ電源(DC12V・60W / 7.5A差替用)」を使用しました。
運転席足元にあるヒューズボックスの配置図を確認しながら、テスターを使って「IG ON(イグニッションON)のときだけ12Vが流れるヒューズ」を探していきます。

検証の結果、37番(7.5A)スロットがIG連動電源として最適であることが確認できました。

37番の純正ヒューズを抜き、エーモンの低背ヒューズ電源を差し込んでACC電源を確保します。
続いてボディアースの接続です。アースポイントは、運転席足元のスロットルペダル(アクセルペダルASSY)を固定しているボルトに共締めしました。

塗装面を避けて確実に金属部へ導通が取れる場所のため、アース不良の心配もありません。
配線をまとめてOBDIIカプラー裏の白いコネクターに差し込み、IGをONにしたところ、無事にTL245Rの液晶モニターが立ち上がりました。

水温表示などの車両情報もしっかりリアルタイムで受信できており、正常に通信していることが確認できました。
補助電源接続のメリット|確実な起動と安定性の向上
今回の取り付けで一番のハマりポイントだった補助電源ですが、実際に使ってみると大きなメリットがあることにも気付きました。
外部からの補助電源を必要としなかった旧コムテック時代は、イグニッションをONにしても画面が立ち上がるまでにラグがあったり、数分~ひどい時は数十分と、なかなかモニターが点灯しなかったりする場面がしばしばありました。OBDコネクター内部の通信や電圧変化を拾って起動トリガーにする仕組み上、認識が不安定になりやすかったのだと思います。
しかし今回の仕様では、ヒューズボックスから引っ張ったACC電源が物理的な起動信号として直結しています。そのため、IG ONと同時にタイムラグなく、確実にモニターが立ち上がります。
配線の手間はひとつ増えるものの、一度取り付けてしまえば起動の不安定さによるストレスが完全に解消されるため、実用面では非常に頼もしいメリットへと変わりました。
試運転での思わぬ盲点|偏光サングラス着用時の液晶表示
苦労した配線作業も無事に終わり、ダッシュボード右端へ綺麗に設置を完了していざ試運転へと走り出そうとした瞬間、新たな問題が発生しました。

日差しを遮るために普段使っているサングラスをかけた途端、つい先ほどまで鮮明に映っていたはずのTL245Rの画面が真っ暗に消えてしまったのです。

「接触不良か、また電源が落ちたのか」と焦りつつサングラスを外してみると、画面は何事もなかったかのように通常通り点灯しています。
もちろん故障でも心霊現象でもなく、原因は「偏光サングラス」による光の遮断でした。

偏光レンズは一定方向の光の波だけを通すフィルター構造になっていますが、TL245Rの液晶パネルから出ている偏光軸とサングラスの偏光軸が、通常の装着角度でちょうど直交(90度ズレ)してしまい、画面の光が完全にカットされて真っ暗に見える状態になっていました。
実際にサングラスを外して90度回転させて縦向きに構えてみると、写真の通り液晶画面がはっきりと浮かび上がって見えます。

運転中に首を90度かしげて画面を確認するわけにもいかないため、偏光サングラスを着用してドライブする際は、この探知機の画面を目視確認するのは諦めるか、偏光機能のない通常のサングラスを使う必要があります。
配線の落とし穴をクリアした直後に訪れた、偏光レンズならではの思わぬ盲点でした。
偏光サングラス問題の解決策|反射低減マットフィルムの導入
せっかく取り付けた探知機をサングラス越しに見られないのは不便極まりないため、対策として導入したのがこちらです。
PDA工房 BLITZ Touch-LASER TL246R/TL245R/TL243R/TL24AB/TL242R/TL240R 対応 PerfectShield 保護 フィルム 反射低減 防指紋 日本製
単なる傷防止の保護フィルムに見えるかもしれませんが、光沢(グレア)タイプではなく「反射低減(マット・非光沢)」のアンチグレアタイプを選ぶのが最大のポイントです。
偏光サングラスで液晶が真っ暗になるのは、液晶パネルから出る光が特定の直線方向に揃った「直線偏光」のまま目に届き、サングラスの偏光フィルターと角度がケンカして完全に遮断されてしまうためです。
そこで表面がサラサラとしたマットフィルムを貼ると、微細な凹凸構造によって液晶から出た光が適度に散乱されます。光の偏光方向がランダムに拡散(散乱)されることで、偏光サングラスのフィルターをすり抜ける光の成分が生まれ、画面のブラックアウトを防ぐことができます。

実際にフィルムを貼り付けて、再びサングラス越しに液晶画面を確認してみました。
先ほどは完全に真っ黒で見えなかったモニターが、メガネを水平に構えた通常の位置でもしっかりと視認できるようになりました。
日中の映り込みも抑えられ、偏光サングラスをかけたままでも快適にスピードや水温、ブースト圧を確認できる実用的な環境が整いました。同じように偏光サングラスで見えなくなって困っている方には、マット保護フィルムの活用は非常におすすめできる対策です。
まとめ|追加メーターとしてのコストパフォーマンス
補助電源の接続から偏光サングラスによるブラックアウトまで、いくつものハードルがありましたが、無事にすべての取り付けと設定が完了しました。

S660の純正センターディスプレイに表示される水温計と見比べてみると、どちらも「53℃」を指しており、OBDII経由の車両情報が正確にリンクしていることが確認できます。

表示モードの自由度も高く、1画面でブースト計を大きく配置してリアルタイム値とピークホールド(最高ブースト圧)をチェックする使い方もできます。

2連メーター風にして水温とブースト圧を同時に並べるのも便利です。

レーダー・レーザーの取り締まりポイントもしっかり検知・警報してくれており、探知機としての基本性能も問題ありません。
実のところ、私がこのレーダー探知機を選んだ最大の理由は、オービス対策そのものではなく「OBD経由で車両情報をリアルタイムに確認すること」にあります。
追加メーターといえば、ピラーやダッシュボードに並ぶ機械式・電子式のアナログ指針メーターが持つ独特のスポーティさやロマンも捨てがたい魅力があります。
ただ、純粋に水温やブースト圧といった車両のコンディションを把握したい場合、Defiなどの独立した追加メーターを一式揃えると本体やセンサー、コントロールユニットなどで数万円単位の出費になり、エンジンルームからの配線引き込みなどの手間もかかります。
それに対してこちらは、OBDカプラーを挿すだけで複数の車両データを高精度に表示でき、さらにおまけとして最新のオービス情報まで付いてきます。追加メーター単体として考えても圧倒的にコストパフォーマンスが高く、私が歴代の愛車でもこのスタイルを選び続けている理由がここにあります。
視界の狭いS660のコックピットでも邪魔にならず、実用的なマルチメーターとして機能してくれるBLITZ TL245Rは、愛車の状態をスマートに管理したい方にとって非常に満足度の高いアイテムです。
▼ S660後期型αの納車レビューはこちら|低重心な外観チェックやGR86・NSXとの車高比較、納車直後のリアルな所感を詳しく紹介しています。




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